本文へ移動

考える言葉

 

緊急経済対策

 
2001年04月09日(月)

去る6日、政府による緊急経済対策の決定がなされた。

 バブル崩壊後これまでに、6人の首相が11回の経済対策を実施し、累計120兆円もの税金を投入した。それにも拘らず、日本の経済は未だ回復の見通しすら立たず、国民が背負うこととなった借金は666兆円まで膨れ上がる結果となったことに驚きを禁じえない。

 今回の経済緊急対策は、今までの公共事業依存型から離れ、日本経済の構造的課題である“不良債権の最終処理”を柱とした取り組みとなっている。

 日本経済再生の足かせとなっている不良債権の処理に、真っ向から取り組む構造改革的な内容になっているのだが、株式市場などの反応も今一つ鈍い。リーダー不在の政局ゆえ、実施の効果に信用を置いていないのだろうか。

 ハッキリしていることは、企業と銀行の長年の癒着関係に、相当思いきったメスが入ることは避けられないということである。

 金融検査マニュアルでは、銀行の債権を次のように5分類している。

 ①正常先に対する債権 ②要注意先に対する債権 ③破たん懸念先に対する債権 ④実質破たん先に対する債権 ⑤破たん先に対する債権

今回の対策は、「破たん懸念先」以下の債権に対して、既に不良化している分は2年以内、新たに発生する分は3年以内に処理するように主要銀行に求めている。
 つまり、銀行は、債権放棄、法的整理あるいは債権売却のいずれかの方法で、期限までに不良債権を会計帳簿から完全に切り離すことになる。

 対象となった企業は、これによって銀行からの資金調達の道を完全に断たれることとなる。
良否の判断は別としても、銀行主導型の経済システムの中で、必要な資金調達をしてきた中小企業にとっては、なんとも釈然としない話しである。しかし、このことは、これから2~3年の内に起る紛れもない現実である。

 企業が早急に打つべき対策は、先ずは、上記分類における自社の位置付けを正しく知ることである。
そして、「破たん懸念先」以下に分類されていたとしたら、極めてドラスティクな経営改革を自らの手で断行せざるを得ないだろう。

 今度こそは、待ったなしの真剣勝負、相当の覚悟を余儀なくされよう。しかし、“未来のシナリオ”をどのように描くのか。その鍵を手中にしているのは自分自身であることを、トップは一瞬たりとも忘れてはならない。