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考える言葉

 

過当競争

 
2021年11月08日(月)

 自由主義経済(=資本主義)とは、自由競争の原理に基づいて成り立っている。
 それゆえに、競争の自由が阻害されるような状況が生まれると、自由市場システムが成り立たなくなるので、独禁法なる法律があるくらいである。
 ゆえに、競争は市場や企業の健全な発展のために欠かせない要因であるが、競争も行き過ぎると様々な弊害が出てくる。
 かつて、日本における高度経済成長期(1955~1972年)に、“過当競争”という言葉が言われた時期があった・・・。
 過当競争”とは、同業の企業が市場占有率を拡大しようとして起こる過度な競争状態をいう。価格が引き下げられ、正常以下の利潤しか得られないという問題が起こり、中小企業における企業間格差が叫ばれたことがあった。
 最近、ある雑誌で、コロナ後の国内市場の縮小を背景に“過当競争”が起こり、企業の淘汰が進むのではないかという記事があった。
 “過当競争”の最大の問題は、値下げにより売上や利益が損なわれてしまうところにある。その対処方法は、一つ。逆に、値上げできないかを徹底して考えることだ。
 そのためには、どうしたらいいか?「競争のいらない経営」を目指すべきだという。
 『絶対に儲かる「値上げ」のしくみ、教えます』(石原明 著)に次のような内容が書かれていたので紹介したい。 
目先の利潤追求に振り回されず、値上げして得た利益を「経営のサイクルを伸ばす投資(3年先、5年先、10年先)」とすることによって、圧倒的に他社を引き離した経営ができるようにすることが重要だという。
そして、「経営サイクルを伸ばす」ためにヒントとして、次の6つを示唆している。
 ① 今すぐは必要とされないが、将来大きな差となる行動は何かを考える。
 ② 長い時間をかけないと絶対にできないこととは何か?
 ③ 圧倒的に蓄積がものを言う世界は何か?
 ④ 面倒くさくて誰もやろうとしないができたらすごいことはないか?
 ⑤ めったにできないがやった人しかわからないことはないか?
 ⑥ 日本人はほぼ行かないが行ったことがある人しか絶対にわからないことは何か?
 “過当競争”に伴う値下げ合戦ほど、リスクの大きいものはない。値上げの最大の目的は「時間」をつくるところにある。経営者は、その「時間」を「経営サイクルを伸ばす」ために活用し、「競争のいらない経営」ができるようにしたいと考える。
 
                   ”考える言葉”シリーズ(21‐44