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考える言葉

 

デフレ

 
2001年05月21日(月)

 最近、「冷戦終結による経済のグローバル化によって、世界経済は“デフレ”状況にある」という論説を目にする。

 “デフレ”とは、あらゆる物価が下落し続けることであるが、市場に物が余り、売れないため企業業績が低迷し、生産は低下し、雇用は減退する。  

 バブルの後遺症と考えていた得体の知れない不況感、その真の原因が世界的に進行している“デフレ”にあるとするならば、私たちは過去の成功体験や今まで通用した経営の常識(価値観)を捨て去ること、つまり、自分との戦い(自己変革)に果敢に挑む決意をすべきであろう。まさに、意識変革こそ経営者の急務である。

 私たちは、インフレが経済の基調だった時代を生きてきたわけだから、誰も“デフレ”を経験したことがない。明確なことは、インフレと“デフレ”は180度異なる概念であり、対極にあるといえよう。
 その意味においても、馴染んできた経営手法を思いきって、捨てざるを得ないのである。

 デフレは必ずしも不況とイコールではなく、「物価の下落が常態」にある状況をいうのであって、その本質として次のようなことが考えられる。

(1) 買い手優位の市場が生まれる(顧客本位、価値観の多様化) 

(2) 価格破壊がどんどん進む(リストラによるスリム化、相場の変動)

(3) 競争が激化する(自立、規制緩和、優勝劣敗、自由経済)

(4) 変化が激しく、予測ができない(トレンド、創造、独自性)

(5) 情報化が進む(IT化、ニーズの先取り、組織のフラット化、高度な専門化)

(6) あらゆる秩序が崩れる(雇用の流動化、実力主義、イノベーション)

 今、元気が良い企業を思い浮かべて見ると、経済のデフレ的トレンドを素早くキャッチして適応した企業か、価格競争に巻き込まれない技術や独自性を発揮している企業か、である。

 21世紀は、企業にとって甘えが許されない厳しい淘汰の時代であることは間違いない。デフレが要因であろうとなかろうと、動き出した変化をもう止めることは誰にもできない。それがグローバル化である。