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考える言葉

 

構想力

 
2001年07月09日(月)

 今日ほど、組織リーダーの持つ“構想力”が問われる時代はない。
 予測もできないほど変化のスケールとスピードが激しいと、変化への適応力だけでは後追いとなり、組織を守ることが難しいからである。
 広辞苑で“構想”を引くと、①考えを組み立てること②主題・仕組・思想内容・表現形式などあらゆる要素の構成を思考すること③想像とある。
 企業に必要な“構想力”を定義付けるとするならば、次のように言えるのではないだろうか。
 「組織の未来のために、あるべき姿を具体的にイメージする力」
 故に、構想力は未来志向であり、目的思考であるべきだと考える。そして、トップや幹部の思想性や想像性が問われることになろう。
 自らの構想力を養うためには、組織のトップや幹部は次の三つの視点で経営について、常に考える習慣を身に付けておく必要があるだろう。
(1)自らの存在価値を明確にすること(理念・目的・使命観)
 社会のために“どのような価値の創造”をしようとしているのか。自己を特長づけているものは何か。その影響力はどのぐらい大きいものなのか。
(2)良好な関係性の構築(ネットワーク化)
やろうとしている仕事について価値観を共有できるかどうか。どのような人とどのような関係性を構築していくのか。
(3)実行可能なシナリオ(戦略と戦術)
 テリトリーの広さ(空間)や時間軸の長さ(時間)を十分に考慮して、実行可能なシナリオを描けるかどうか。目的と手段を混同していないかどうか。
 “構想”とは、何かを為そうとする意志の具現化であるから、その構想の中身の濃さは、その人の持つ“志の高さ”によって決定づけられると考える。そして、“志の高さ”はその人の人生観や哲学といった思想性であろう。
 予測できない未来と戦うことは、常にリスクが伴う。5年あるいは10年はかかるかも知れないという時間軸の長さもある。
 先駆的役割を担うことに対して、どれだけ熱意と信念を持ってやり続けることができるかどうか。
 いずれにしても激変の時代において自らの進路の方向性を見定めるには、変化への適応性だけではおぼつかない。「自らの手で未来を創る」ためのしっかりとした“構想力”が今や、企業が生き残る唯一の方法であると認識すべきであろう。