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考える言葉

 

数字を創る

 
2001年09月10日(月)

昨今、「企業の8割以上が赤字企業に陥っている」という話をよく耳にする。
その数字の信ぴょう性については定かではないが、認識すべき事実は、一口に赤字といっても、赤字の原因は個々の企業において千差万別であるということ。
 しかも、その原因は年次あるいは月次といった時系列的にみても確実に変化している。つまり、赤字は総じて語るべき問題ではなく、その原因を個別に徹底的に究明すべき問題である。
 最近、多くの決算書を診ていて感じるのであるが、各々の決算書にはトップの意思が如実に反映されているものと、そうでないものがある。
 前者の決算書を診ていると、トップが自らの手で明確に「数字を創る」戦いをしていることを感じとることができる。
 決算の五期比較表を作ってみると尚更のことであるが、トップが「数字を創る」意識をもって経営をしている企業とそうでない企業とでは、結果に歴然とした差が読み取れることに驚かされる。
 多くの経営者が、漠然と、自社の決算書の数字を眺めているような気がする。自分の意思がどれほど反映されたかという意識で、決算書の数字をチェックしている経営者は意外と少ない。
 決算書は企業の通信簿であり、当然のことながら経営者はその内容に責任を負わなければならない。決算の数字に責任を負わされるのは、その数字を創る権限がトップに存在しているからである。
 言うなれば、「数字を創れんようでは、社長とはいえない!」ということを改めて認識して頂くしかない。
 決算は結果のまとめであるが、どのような決算にするのか、つまり、決算書においてどのような数字を創るかは、スタートを切るときにすでに社長の頭の中に描かれていなければならない。
 事業計画に基づいた数値目標を明確にし、月次の予実管理の徹底などを通して、トップのリーダーシップによって創り上げられた結果が、決算書の数字だといえる。
 金融情勢が厳しさを増す今日、企業のディスクロージャー(情報開示)の重要性が一層高まるであろう。
 胸を張って見せることができるような決算書にするためにも、トップは常に自らの「数字を創る」戦いに挑んで欲しいと思う。
 次回は、どのような視点で「数字を創る」べきかについて考えてみたい。