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考える言葉

 

もぐら叩き

 
2001年11月12日(月)

 やっと一つの問題が解決できたと思うと、すぐに新たな問題が生じて、その対処に追われる。あたかも"もぐら叩き"をしているようで、いずれ疲労困ぱいの極みに達するのであろう。

そんな状態に陥っている企業や人が、いかに多いことか。バブル崩壊後の日本の象徴的現象と言えなくもない。

原因はハッキリしている。右肩上がりの経済が長く続く中、ハウツー的な問題解決の方法に安易に頼りすぎた結果である。要するに、自分の頭でしっかりと考え、「何故(Why)?」と問うことをしてこなかったからであるといえよう。

問題の解決を急ぐ余りに、即効性のある対処療法的な対策に頼り、根本原因の究明を怠ってしまう。つまり、問題の"すり替え"現象が起きているのであるが、一時的ではあるが、事態が好転するのでホッとして、いずれ取り返しのつかない状況を招く。
問題の"すり替え"をやっていると、次のような症状が組織にあらわれる。

(1) 問題の悪化状態が徐々に進行する
(2) 徐々に組織の力が弱まっていく
(3) 組織全体に無気力状態が蔓延する


変化と競争激化の今日的経済情勢の中で、安易な解決方法に依存していたのでは、いずれ抜差しならない状況に到ること必至。

今こそ、私たちは根本から物事を考え、"甘えと無知と慢心"から脱却し、自己変革する絶好のチャンスではないだろうか。

根本的問題(原因)としっかり向き合うことである。そのためには、原点に立ち返り、目的を問うことから始めるべきであろう。

自分は何をしようとしているのか?長期的方向性とヴィジョンを明確にしなければならない。組織であるならば、それらの共有を確信し合う必要がある。

特にトップと幹部は、どんなに困難であろうと"根本原因"から逃げてはならない。生じた"結果"には必ず"原因"がある。つまり、原因と結果は相互に関連しており、影響し合い、循環関係にあることを忘れてはならない。

悪循環を絶ち、"良循環"へ変えるためには、その根本原因を徹底的に究明し、その根本原因を変えること(自己革新)でしか、他に方法はないのである。

そして、根本治療には、当然のことながら成果が出るまで時間がかかるのである。
覚悟を決めて、信じてやり続けることが肝要である。

 「乱世の時代は、組織の敵(問題)は組織の中に生まれ、自分の敵は自分の中に生まれる」(経営人間学講座)