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考える言葉

 

惰眠

 
2001年12月03日(月)

 以前に"考える言葉"シリーズ(00.3.6)で「眠れぬ夜」と題して、心配事や先行き不安で眠れない夜が続く経営者の心情を扱ったことがある。
 
 こんなご時世だから、とても"惰眠"をむさぼる余裕など、いまどきの経営者にあろう筈がないと思っていたが、そうでもないことに気が付いた。
 
 広辞苑で"惰眠"を引いてみると、「①なまけてねむること②のらくらして働かぬこと。活気がないこと」とある。
 
 惰眠を心の有り様として捉え、考えてみると、バブル崩壊後の日本の10年は、まさに惰眠をむさぼっていたと言えるのではないだろうか。
 
 なにも国の状態に及ばずとも、企業や個々人、何よりも増して自分自身を振り返ってみるとよく分かる。
 
 ナンダカンダと言い訳ばかりが先に立って、"為すべきこと"をなさず、一日を無為に過ごしていないだろうか。
 
 財務管理の要諦の一つに、「管理を怠れば、資産は惰眠をむさぼる」とある。つまり、売掛金や在庫、遊休資産など資産の回転(活動性)が鈍り、不良化あるいは陳腐化してしまう危険性を指摘している。
 
 人間も然り。自己管理を怠れば、安易に流され、惰眠をむさぼる結果になってしまう。惰眠に陥らないためにはどうしたらいいか、思いつきであるがチェックポイントを書いてみた。

  (1) 真に目的を特定できているか
  (2) 掲げた目標は低すぎてはないか
  (3) 優先順位を誤ってはいないか
  (4) 達成期限は明確になっているか
  (5) 感性的な悩みに陥っていないか
  (6) 自己本位な考え方をしていないか
  (7) 甘えと無知と慢心に陥ってはいないか
  (8) 主体性・自主性を発揮できているか
 
 そして、何よりも大切なことは、上記の点に根本的な影響を与えている自らの"価値観の低さ"を日々省みることだと思う。
 
 危機感を持っているからといって、"為すべきこと"に専念できているかというと必ずしもそうとはいえない。
 
 よくよく振り返ってみると、何と"無為な時間(惰眠)"が多すぎることか。