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考える言葉

 

人材育成

 
2001年12月10日(月)

 「我社(うち)には、然るべき人材がいない」・・・・・。思い切った変革をしないと沈没しかねない状況にある企業経営者の心の叫びである。
 いわゆる人手不足で悩んでいるのではない。要するに、不要な人材はたくさんいるが、有用な人材がいないという嘆きのようだ。そして、ここでいう有用な人材とは、変革断行の痛みを共に感じ、リーダーシップを発揮してくれる幹部のことのようだ。
 場当たり的な雇用対策を重ねてきた後遺症だろう。聞いてみると、「然るべき人材とは何か」が曖昧であるし、今までに一度も社長がどのような人材を育てようとしているのか、つまり、明確な“人材ヴィジョン”を聞かされたこともない。
 「然るべき人材がいない」という社長の悩みを耳にする度に同情の念に駆り立てられるが、合わせて社員の戸惑う顔を想いうかべざるをえない。
  この悩ましい現状を打開するためには、今からでも遅くない。厳しいことではあるが、トップ自らが生まれ変わるしかないと考える。
 本来、起業とはトップ自らの価値観の具現化にある。その目的を実現するための組織化である。それ故に、トップのリーダーシップは事業の成功に欠くことができない最も重要なファクターである。
 特に、変化の時代において大切なリーダーシップは、常に進むべき方向性(目的)を明確に指し示し、組織を現況から“あるべき姿”へ転換させることにある。
 そのために、トップが自ら為すべき最も重要な仕事として考えられることは、組織の価値観を共有できる「人材を育てる」ことではないだろうか。
 「人材を育てる」というプロセスを通して、組織人としての心構えや担うべき役割への認識、そして組織プレーにおいてしか達成できない“仕事の成果”などについてリードすることである。そして、組織の目的を共有することの大切さを確信させることができるかどうかである。
 人は自分を育ててくれた人に対して感謝し、信頼や尊敬の念を抱くものである。その意味において考えるならば、リーダーシップの究極は「人を育てること」であると言えるのではないか。
 「リーダーとは、部下を持つことではなく、人材(リーダー)を育てることである」という言葉があるが、けだし名言。
「リーダーシップを発揮したければ、人を育てよ」である。そのためにも、リーダーは様々な価値観を“ひとまとめにする”価値観を学び、自らの価値観を高めることを怠ってはならないと思う。