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考える言葉

 

軌道修正

 
2002年02月04日(月)

 中内功さんが一代で築いたダイエー王国は、すでに解体がはじまったといえる。仮に名前が残ったとしても、スケールが大きい中内さんが描くようなダイナミックなダイエーは恐らく、もう見ることができないだろう。

 逸材ゆえにワンマンならざるをえない、その功罪が取り沙汰されている。かつての側近から様々な批判が出ている(勿論、ワンマンに仕える側近の悲哀は察することはできる)。

 そんな中で、高塚猛氏(中内功さんからの要請で、福岡ドームの経営再建をやっている人)の話し振りと身の処し方は、爽やかさを人に与える。

 ダイエーグループは、福岡ドーム(ドームとシーホークホテル)に1500億円を投じ、今となって過剰投資だったと批判されているが、「九州が好きな中内さんが九州のために福岡ドームをつくり、これだけの雇用の場ができた。この決断は正しい。だから皆も縁あってここに働いている。このことに先ず感謝しよう。でも今はバブル崩壊で大変な想いをしている。じゃあ、何がどう変わったのか、それに対して我々はどう変えていかなければならないのか・・・」と軌道修正の話を切り出したそうだ。

 「再建」という言葉をつかわず、「軌道修正をしよう!」と社員に呼びかけるところに、高塚氏の次のような経営哲学がある。

 「他人と過去は変えられない。変えられるのは自分と未来だけだ」
 「再建」となると、どうしても「他人と過去」に目がいき批判的になる。「軌道修正」となると自ずと、これからの「自分と未来」をどう描くかと、創造的になる。

(1) 現実から逃げない(他人と過去)
(2) 問題の原因は必ず自分の中にある
(3) 自分が変われば周り(未来)が変わる

それから、もう一つ高塚氏には"出逢い(縁)"がいかに自分の人生に大きな影響を与えているかについての深い認識がある。

ゆえに、氏は次の三つの点を大切にして経営をしている。

(1) 人の力をお借りする
(2) 目的を決めて、目標を設定する
(3) コミュニケーションとコンセンサスを大事にする

 いずれも、これからの高度に情報化された組織社会において、良い仕事をするためには欠くことができない要件である。

 今年も、ダイエーホークスを応援したいと思う。