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考える言葉

 

ブランド

 
2002年02月18日(月)

 デフレと不良債権の煽りで、日本経済は悪戦苦闘しているが、ブランド品の売れ筋はそんなに悪くはないらしい。
 日本人が海外へ行って、ブランドの店に列をなし、ブランド品を買いあさっている光景は、一時ほどではないにしても今でもそうだ。町を歩く若い女性の多くは、やはりヴィトンのバックを手にしている。
 日常的な消費、つまり生活必需品は、デフレの恩恵で安くなったもので済ませ、身につけてエンジョイするものは、高級ブランドへ走る。
 経済の成熟化の中で、消費者の智慧は確実に進化しており、数段と賢くなっている。供給側の企業は、そのことを強く認識しなければならないと思う。
 ブランドの本質は何か。それは、“熱い信頼の絆”ではないか。言葉を変えて言うと、企業と顧客がしっかりと“価値を共有し合えている状態”において、はじめて認識されるのがブランドだといえる。
 消費とは、経済的にいうと、自分の欲望を満たすためにお金を使う行為であり、当然のことながら“損得”の感情がつきまとう。要するに、大切なお金を使っただけの成果(満足)を手にすることができるのかどうか、迷いながら何らかの決断をする。
その期待を裏切らないもの、それがブランドなのである。ゆえに消費者は、安心して財布の紐をゆるめ、値切ることもなく、それを得ようとする。
多くの企業は今、自らが提供する商品やサービス(価値)に“値決め”をすることができないでいる。同業他社の動向をうかがい、相手より一円でも安い値段をつけることによって客の注意を引こうと躍起になっている。
“値決め”は経営である。その“値決め”を他社の動向に左右されるようでは、主体的な経営をしているとは言えず、いずれ企業の存在そのものを問われることとなる。
デフレの時代に値崩れしない、値決めができる自社ブランドを創ること。これを切に意識することが、これからの企業戦略にとって最も大切なことではないだろうか。
ブランドとは、顧客の信頼を勝ち取ることである。そのためには時代のパラダイムあるいは顧客のパラダイムの変化をしっかりと読み取らなければならない。そして、自らを変えることから始めなければならないと考える。
「お客様は神様です」とは、今や戯言。お客様に「企業こそが神様です」と言わしめることができないと、存続さえおぼつかない時代である。(経営人間学講座)
顧客の満足に応え続けること、それが神様と崇められることであり、ブランド戦略の基本ではないだろうか。