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考える言葉

 

自立

 
2002年09月23日(月)

“島田晴雄の「新事業創出」研究会(全6)”の第二弾からの報告。
 今回は、補助金に頼らずに高齢者のための「安心ハウス」事業をビジネス化するための実践事例として、日本アビリティーズ社(東京・渋谷)の伊東弘泰社長のスピーチがあった。
 氏自身が身障者(小児マヒ)であるという理由で就職できなかった苦い経験から36年前に「保障よりもチャンス!」をスローガンにアビリティーズ運動を開始し、さらに障害者による障害者のための企業を起こし、障害者や高齢者の“自立的なライフ・サポート”をモットーに活動をしている。
 氏が掲げた“アビリティーズ綱領”の一部を紹介したい。
「わたしは平凡な人間でありたくない。
非凡な人間としてできれば『保障』よりも『チャンス』を選ぶこと・・・
これこそわたしの願いである。
わたしは、国家に養われ、卑屈で、怠惰な人生を送ることに満足できない。
わたしは、夢をえがき、計算された冒険を求め、建設しつづける。
たとえ、それが成功しようとも、失敗しようとも。
わたしは、すばらしい人生の刺激を、いくばくかの施し物のために放棄することなどしない。
わたしは保障された生き方よりも、つねに挑戦する人生を選ぶ。
それはユートピアのような日々ではなく、スリルに満ちた世界である。・・・・・」
 この確固たる信念が、36年間の活動を支え続けてきたのであろう。どんなに困難であっても自立を求める生き方は、まさに尊厳的である。
 福祉の領域は、補助金をあてにして、簡単にもうかると錯覚して参入する人たちがいる。しかし、氏はそんな甘い考えでやっていけるはずがないと警鐘を鳴らしている。
 「簡単にもうかると錯覚している事業者が“質の高いサービス”を提供できるとは思えない」(伊東社長)。
 この言葉は、“量から質への転換”を求められている私たち現代人にとって大変示唆深いものである。真の自立とは、主体性を発揮することであり、それは相手の立場にたって考え、行動することである。
 仕事の質を高めるとは、まさに「自立と相手本位」というキーワードにおいて成り立つものではないだろうか。そして、それはネットワーク社会を確立させていくためのキーワードでもあるといえよう。