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考える言葉

 

“共感”性

 
2003年01月13日(月)

 私どもの事務所では、毎年一月の初旬に「新年度における行動計画」の発表会を行なっている。
 この発表会の目的は、大きくいうと二つある。先ず一つは、事務所の今年度の基本方針や全体目標を明確に指し示すことによって、一人ひとりに全体の流れ(筋)をしっかりと掴んでもらうことにある。もう一つは、部署ごとあるいは各個人ごとにどのような役割認識をもっているのか、個人目標の発表を通してお互いに認識を高め合うことにある。
 言葉を変えていうと、今年一年のスタートを切るにあたって、「トップダウン」による全体の方向性や個への役割分担と「ボトムアップ」による個人目標の内容が、矛盾のない整合的な関係になっているかどうかを確認し合う、大切な一日である。
 トップダウン的な内容は、すでにある中期五カ年計画や今年度の基本方針において、個人目標を作成する段階ですでに織り込み済みであるから、どちらかというと個人目標の発表にウエートをおいて、一人ひとりが思いのたけを語り、お互いに刺激し合う展開になるのが望まれる。
 「ボトムアップ」とは、各個人から全体への働きかけであるから、その内容において“共感”性が重要となる。
 そのためには、自らが掲げた“個人目標”に対して、先ず自分自身が本当に共感できているかどうか。つまり、その目標は自分にとって、どうしても達成しなければならない必然性を認識できるほど考え抜いたものであるかどうかが問われる。
 さらに、その個人目標を聞かされた他人が、「そんな目標だったら、自分の目標にしたい。自分にやらせて欲しい」といってもらえるような、共感性が高い内容になっているだろうか。
 自分が自分に共感する、そして他人からと共感されるような目標とは、どんな目標だろうか。それは、自分にとっても極めてチャレンジ的であって、同時に自他非分離のストーリー性が要求される。
 そのためには、自分自身をつねにオープンにしていくことである。自分の殻に閉じこもっていては、なにも変わらない。そして、もっと高いところから自分も含めた全体を見渡すことを心掛けるところからはじめよう。
 今年の基本方針は、「組織ヴィジョンと自己ヴィジョンの統合」である。全員で共有できる目的を求めて、大いに自己言及し、対話を通して“共感”性を高めていければと考えている。