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考える言葉

 

上司

 
2003年01月20日(月)

 ジョン・P・コッターによると、組織における上司の役割は、次の二つに大きくわけて考えられる。一つは、マネジメントであり、もう一つはリーダーシップである。
 この考え方の前提には、マネジメントとリーダーシップは別物であるという認識があるのだが、どこがどう違うのか。
つまり、マネジメントの仕事とは、現在のシステムをうまく機能させ続けることであり、一貫性と安定性が求められる。
これに対して、リーダーシップの目指すものは、未来指向であり、未来に向かって組織をよりよくするために大変革を推進していくことにある。
そして、氏によると、組織の成長には双方のバランスが大切で、マネジメントが不在で強烈なリーダーシップだけが発揮されると、カオス(混乱状態)に陥ってしまうし、一方リーダーシップ不在でマネジメントのみが突出すると、官僚主義に凝り固まった組織ができ上がってしまう、と指摘している。
さらに、双方の組織における影響力のあり方の違いについて、マネジメントは、組織のフォーマルな階層(権力)を通して機能するが、リーダーシップはインフォーマルな人間関係に依存する、と指摘している。
 変化を常態とする今日的状況において、マネジメントとリーダーシップの“目的と手法”の違いをしっかりと認識しておくことは、私たちにとって極めて重要なことだといえよう。
 マネジメントは、計画と予算を明確にし、組織における地位の権力でコントロールも可能であるが、リーダーシップにおいてはそうはいかない。
 リーダーシップの目的は、組織の大変革であるから、未来展望(ヴィジョン)を描ける視野の広さが必要であるし、さらに組織のメンバーとのインフォーマルな人間関係が存在していないと、その達成はおぼつかないことになる。
 今日のような変化の激しい時代においては、組織のおける上司の仕事は、当然ながら、リーダーシップへとウエートが移行する。その意識変革ができていないところに上司受難の根本的な要因がある。
 今、上司に求められているのはリーダーシップである。そして、リーダーシップが発揮されるために必要なことは、メンバーの感動を呼び起こすようなヴィジョンであり、良好な人間関係のベースとなる信頼の絆であろう。
 また、リーダーシップが、インフォーマルな人間関係に依存するとなれば、組織の階層には関係なく、上下を問わず、誰もが担える仕事だといえる。
 まさに、チャンスわれにあり、である。