2000年08月21日(月)
これだけ環境変化の激しい時代に、今なお、羅針盤を付けずに濃霧の中を航海する船のごとき無謀な経営をしている企業がなんと多いことか……。
「業績が低迷し、資金繰りが苦しい」と、ある経営者から相談があった。どうしてこんな状況に陥ったか失敗の原因がいろいろと口を突いて出てくる。
その一つひとつの原因が今の結果を招いたという事実は分らないでもない。しかし、それらの原因を事前に察知することができて、未然に対処できたならば、事態は大きく変わっていたのではないかと思うと、至極残念でならない。
そこで、真の原因を探り、再建のための経営計画を立てることを提案し、日を改めて来て頂くこととした。事態は急を要するのに連絡が取れないでいたが、やっとの電話先で、「以前にもやってみたが、計画立ててもその通りには行かないもので…」という返事。このような経営者の姿に真の原因を垣間見ることが出来よう。その後、残念ながら敢無く、倒産…・・。
経営計画とは元来、“事業が上手くいくように用意周到な計画を立てること”に、その意義がある。計画を立てても事業が上手く行かなかったとしたら、それはやはり「考え方が拙いのか、良く考えたとしてもその通りにやっていないか」、どうもその当たりに原因はあるのではないだろうか。
折角、時間をかけて作成した計画を途中で放棄してしまう企業をよく見受けるが、そんな企業は、上手く行かない原因を“自分の外(=外部要因)”に求めていることが多い。
不況になればなるほど本領を発揮する企業は、常に自己責任で物事を考えている。業績が少しでも悪化すると、「組織の中に成長を阻害する要因が何か生じているのではないか、その原因は何か」と徹底した自己反省を繰り返す。
変化に敏感で、自己革新が実に巧い企業である。そして、そのような企業は必ず内容の濃い経営計画をしっかりと作っているのである。
「経営計画とは常に正しい経営が出来ているかどうかを自ら判断するための“基準”である」と考える。
そして、毎月の予実管理の徹底、差異の原因究明は、各月の問題をタイムリーに浮き彫りにしてくれる。
企業は“正しく経営すれば、必ず成長発展する”ものである。そして、正しい経営とは“正しい経営計画”を作成し、実践することから始まる。