本文へ移動

考える言葉

 

理想(ideal)

 
2000年07月03日(月)

サミュエル・ウルマンの詩『青春』に、「年を重ねただけで人は老いない。理想を失うとき初めて老いる」という一節がある。有名な詩なのでご存知な方も多いと思う。
「理想を失うとき初めて老いる」、“心の持ち方”の大切さを語っている。
長引く不況の中、業績の悪化も然ることながら、経営者マインドの低迷ぶりが大変気になる。資金繰りなど目先の問題に追われ、理想を考えたり、語ったりする余裕がないように思えてならない。
厳しい現状を見ると、その気持ちは分らないではない。しかし、理想を見失ったままで、苦難に立ち向かう気概が本当に持続できるのであろうか。
今、世の中は大きく変わろうとしている。過去に身につけた小手先のテクニックに頼っていては、変化とそのスピードに翻弄されてしまう。
現状を打開したければ、先ず為すべき大切なことは、自らの“理想”をはっきりと心に描くべきではないかと思う。
自分は、“何のために”、この仕事をしているのか。その目的を実現するための“あるべき姿”とは。原点に立ち返って、しっかりと考えて見るとことが肝要。
進むべき方向性を見誤らないためにも、トップは、そのための時間を常に確保することの重要性を正しく認識しなければならないと思う。
『青春』の詩の一節を次のように置き換えてみよう。「理想を失うとき企業は初めて衰退する」と。
恐ろしいことである。企業の盛衰を決めるのは、決して外部要因ではない。それは、あなた自身の“心の持ち方”次第だとなる。
広辞苑によると、理想とは“考え得る最も完全な状態”をいう。つまり、理想を掲げて生きるということは、常に成長願望を持って生きるということであり、“自己の完成を求めて、常に自己革新し続ける決意”であるといえる。
過去にとらわれず、未来に生きるため、敢えて過去の成功体験を捨て去り、生まれ変わるためにリスクを背負う。どんな時代においても、その時代を切り開いてきた先駆者は、自らの理想を実現するために生き抜いたのだと思う。
理想あるが故に、人間は、自己の人生に勇気を持ってチャレンジし続けることができるのではないかと、私は改めて考えた。
多くの社会人は、自らの仕事を通して自己実現を目指すのではないか。そのためには、先ずは「納得できる仕事、納得して頂ける仕事」をしたい。