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考える言葉

 

優先順位

 
2022年09月26日(月)

 コロナのせいで、このところ、東京はじめ県外出張の機会がめっきり減ったせいか、事務所で過ごす時間が随分と増えている。時間に追われていた頃のことを考えると有難い話である。
 休日の日は、自宅でのんびりと読書三昧。書棚を整理していると、懐かしい本がたくさん出てきて、手当たり次第読み直している近況である。
 そんな日々を過ごしていたが、ふっとある事に気がついて困惑した・・・。何かというと、仕事に対して“優先順位”をつけないまま、あれもこれもと思いつくままに手をつけていたという無作為な現実である。
つまり、選択と集中が欠落したような時間の使い方・・・。それゆえに、確かな成果を実感できない時間が流れていたのだ。
 ずっと、気にはなっていたのだろう・・・。もう6カ月ほど前だろうか、“劣後順位”というテーマで「”考える言葉”シリーズ(22‐11)」を書いたことを思い出した。
 「重要な仕事に集中するためには、まず仕事に“劣後順位”をつける必要がある」というドラッカーに助言である。つまり、「あれもこれも抱えるのではなく、不要なものを捨てることから始めなさい」という、あの言葉だ。
 そこで、“優先順位”に関するドラッカーのアドバイスを思い出した。“優先順位”の決定には、次に掲げる4つの重要な原則があるという。
 ① 過去ではなく未来を選ぶこと。
 ② 問題ではなく、チャンスに焦点を合わせること。
 ③ 横並びではなく、独自性を発揮するものを重要視すること。
 ④ 安全でやり易いものではなく、変革をもたらす高いレベルのものを選ぶ。
 さすが、重要な原則である。いずれも十分に納得できる内容ばかりだ。ところが、実際に実行するとなれば、別問題である。
 なぜか?「選ぶ」ということは、一方に「捨てる」という決断には、勇気が伴うからだ。①~④のいずれの決断にも、真の勇気があってこそできる決断であると言えよう。
 一日24時間は、誰にも平等に与えられた時間である。「時間があれば金は稼げるが、金があっても時間は買えない」という言葉がある。
 よく、時間を上司あるいは他人から奪わるという話を耳にするが、確かにそういう一面があると思うが、自分の時間を最も無為にしてしまっているのは、“優先順位”を決めきれない自分自身であると考えてみることも必要だと思う。
 究極のところ“優先順位”を決めるのは、自分自身であると考えよう。

                   ”考える言葉”シリーズ(22‐37)