時熟

 
2017年08月21日(月)

 お盆休み(1116日)に書棚を整理していると、『時間開発のすすめ~独創的24時間のつくり方』(中川昌彦 著)が目に止まった。もう30年も前に購入した本だ。

 懐かしく、ぱらぱらとめくっていると、“時熟”という言葉に赤線が引いてあり、その当時に熟慮した跡がある。著者によると、「時間には命がある。時計時間にはもちろん命などないが、実存的時間にはそれがある」という。

 時計時間とは、時計のように等質的に流れる通俗的時間のことで、実存的時間とは人間の意識に属している根源的時間をいい、それには命がある・・・。自分がいかに生きるかによって、それは伸びもし、縮みもするという。

 時間に命があることを的確に表現した言葉として、“時熟”という言葉を紹介している。

「時間は未熟な状態から始まって、徐々に成熟する。十分に成熟した状態が“時熟”と

呼ばれる。その状態を過ぎると、時間は時代に枯れ、ほろびていく」とある。

 つまり、未熟な状態で成果をあげようとすると失敗する。“時熟”に至れば、熟柿が自然に落ちるように、物事はうまく運ぶ。しかし、その機を逸すると、柿は腐って落ちてしまう・・・。

 このように考えると、「機が熟する」という言葉があるが、“時熟”を読むということはどんな人の人生にとっても極めて重要なテーマであるといえよう。

 新規事業を立ち上げたあと、激しく成長している企業を見ていると、トップの“時熟”を読む目が鋭い。自らが構築したビジネスモデルと時流がマッチングしており、方向性にブレがないのである。

 逆に、失敗を繰り返している企業や人を見ていると、時の熟するのを待てず、独り相撲をとって、焦りから自滅している。または、機を逸してしまい、慌ててやり出すが、手遅れの状態である。

 では、物事が“時熟”しているか否かを読むには、どうすればいいのだろうか?

先ずは、「備えあれば憂えなし」である。「迷った時こそ先を見よ」という言葉があるが、常に目的意識を持って、明確なビジョンを掲げて、その実現のために何をなすべきかを考え抜く習慣を身につけることであると思う。

 また、企業のトップであるならば、自分の会社をどう伸ばすのかの一点に集中すべきである。つねに成長志向で、未来を考えて、行動をすべきである。このような思考的な習慣によって、“時熟”のタイミングが培われていくのだろう。

 恐らく、無為自然とか無我の境地に達している人は、時の流れに身を任せつつ、“時熟”を得心しているのだと思う。

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