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考える言葉

 

「聞け、話すな」

 
2024年01月22日(月)

 自宅の書棚を整理していると、P・F・ドラッカー自身の著作とドラッカーに関連する本を合わせると100冊ほどの本があった。月に4~5冊ほど再読し、各要約文を作成したとしても2~3年はかかりそうだ・・・。新年早々、余暇の楽しみの一つができて、少し嬉しい気分である。
 早速だが、『経営者の条件』の冒頭に、成果をあげる人たちが身につけている習慣として、次の「8つの習慣」を紹介している。
 ① なされるべきことを考える (優先順位をつけ、一点集中)
 ② 組織のことを考える (組織人としての自覚)
 ③ アクションプランをつくる (実行する)
 ④ 意思決定を行う (周知徹底させること)
 ⑤ コミュニケーションを行う (情報ニーズ)
 ⑥ 機会に焦点を合わせる (変化はチャンス)
 ⑦ 会議の生産性をあげる (事前に目的を明らかにすること)
 ⑧ 「私」でなく「われわれは」を考える (自分の都合に捉われない)
 「彼らは、これら8つのうち最初の2つによって知るべきことを知り、次の5つによって成果をあげた。残りの一つによって組織内の全員に責任感をもたらした」という。
 そして、これら「8つの習慣」にもう一つおまけを加えたいといって、“「聞け、話すな」”を掲げている。
 習慣とは、天賦の才能ではない。「反復によって習得し、少ない心的努力で繰り返せる、固定した行動のこと」(広辞苑)である。
 目標管理に基づいて行動計画書を作成し、PDCAサイクルを繰り返し、繰り返し実行することによって、「8つの習慣」は身につくものであると確信している。
 ここに掲げる「8つの習慣」はいずれも納得させられる内容ばかりであったが、最もハッとさせられたのは、おまけで加えたという“「聞け、話すな」”という習慣であった。
 職業柄、聞かれたことに答えること、講演を頼まれて話すことに慣れてしまい、回答力や講演力を鍛える努力ばかりに気がいっていたのだろう。“「聞け、話すな」”という言葉に触れて、ハッとさせられた若かりし頃のことを、今でも思い出す・・・。
 磨くべきは回答力ではなく、質問力だと気付かされ、質問力に関する本を数冊買ってきて読み漁った。そして、話すことを控え、まず聞くことを心がけるようにした。効果はテキメンだった。相手の真意が理解できるようになったし、相手もまた、こちらの話しをよく聞いてくれるようになった。ホントに、“「聞け、話すな!」”である。


                   ”考える言葉”シリーズ(24‐03)