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考える言葉

 

不死鳥

 
2003年01月06日(月)

 「不死鳥の日本経済」の著者であるリチャード・カッツ氏は、その著書の中で次のような趣旨のことを述べている。
 ――日本の機能不全は、欧米に追いつき追い越せの時代に有効に機能したキャッチアップ構造からいまだ抜けきれないところに問題の根源がある。そして、日本の抱えるジレンマは、成長を拒む要因が政治経済の縦糸横糸に織り込まれており、それが同時に政治のシステムを支える柱になっていることだ。・・・・
 それでも、日本は改革に成功する。何もしないでいる苦痛が行動に出る苦痛を上回る時が来るだろうというのがその一つの理由だが、もっと基本的には、いまは陳腐化した諸制度に足をとられているが、もともと優れた力をもった国だから、倒れても何度でも起き上がる、まさに不死鳥だ。
 氏は、「二重経済」と「経済拒食症」という日本が抱える二つの構造問題を指摘し、それを改革することによって日本は再生すると語り、その具体的な方法論まで述べている。
 氏が言いたいのは、「やることは、はっきりしているではないか」、それに「日本はいったん動き出せば、優れた力をもっているのだから、必ず改革に成功するはずだ」、だから「抵抗勢力に惑わされずに、勇気をもって突き進め」ということだろう。
 まったくその通りだと思う。あらゆる新陳代謝を進めない限り、新しい活力が生まれてこないのは当然だ。
 問題なのは、改革を進めると横並びではおれないということである。当然ながら、ステージから退場しなければならない企業がたくさん出てくるのは必至。職を失う人たちも大勢出てくるだろう。
 それでも、何もしないでいる苦痛の方が改革に伴う苦痛よりもはるかに大きくなる日が、もう間近に来ているのだと自覚せねばならない。
 バブルが崩壊して、12年になる。もう、そろそろ不毛な議論はやめにして、決着をつける年にしたいとだれもが思っているのではないだろうか。
 カッツ氏は、日本が不死鳥のごとく甦るのにあと10年はかかると予測している。再生のためにやることははっきりしているのだから、そんなに時間をかける必要があるのだろうか。その必要はないだろう。
 ひつじの年は波乱含みだそうで、大きな動きがありそうな気がする。国民一人ひとりが覚悟を決めて、未来に向かって大きく前進することを望めば、時代は大きく前進するのではないだろうか。
 もう、後戻りできないことは、みんな知っているのである。