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考える言葉

 

女性起業家

 
2003年02月10日(月)

 いま参加をしている“島田晴雄の「新事業創出」研究会”は、30企業ほどの参加のもと、東京で定期的に開催されているが、「規制にとらわれず、補助金をあてにせず、新しい事業を起こそう」という気概に溢れていて、実に自由闊達で、面白い。
 島田先生の導入講義のあと、参加企業の代表による事例発表があり、それからディスカッションをする。
 今回の事例発表者は、「健康関連」と「子育て支援」の2事例発表があったが、いずれも女性経営者で、熱意に満ちた発表であった。
 東京・霞ヶ関の官庁街で初の託児施設(文部科学省内)をオープンしたりして有名であるが、㈱コティ(北海道)の社長である水澤佳寿子さんの話は、自身の悩みを事業化し、さらに「子育て支援」という社会的インフラとしての必要性にまで理念を高めていった様子がうかがえて、面白かったし、参考になった。
 水澤社長は、3人の子供を抱えて働かざるを得なくなった自身の経験から、既存の保育園のサービスは働く女性のニーズを半分も満たしていないと実感し、そのギャップを自らが埋めようと「保育事業」をはじめる。
 多くの女性は、理想的には子供を2~3人欲しいと思っている。しかし、実態は1.33人(平均出産数)。なぜか?子育てを支援する環境がない。この事業は、少子化問題を解決するための“受け皿”にもなるのではないかと、その社会的価値を認識する。
 「子供って、楽しいよ!」と感じてもらえる環境を女性に提供することが、子育て支援事業だと考えると、いろんなアイデアが浮かんでくるようだ。たとえば、専業主婦の外出を支援するための一時間単位の「一時利用」。“実家の母親代わり”というイメージである。
 彼女は事業に失敗しないように、次の四つのことをつねに自問しているという。
①自らが熱意をもてる仕事であるか、②社会が必要としている仕事であるか、③参加している人たちが生きがいを感じる仕事であるか、④経営として成り立つ仕事であるか。
 一見、温和な感じのお嬢さんタイプであるが、しっかりとした哲学がある。しかも、聞く人を納得させる言語概念化たるや、気迫溢れる“女性起業家”である。
 もう一人の発表者であった坂本和子さん(健康関連ビジネス)も、島田先生から「熱意とやる気だけで、ここまでやっちゃうとは凄い」と、妙な誉められようだったが、起業精神に溢れていた。
 日本経済は、「ひょっとしたら女性パワーが甦らせるのかもしれない」と感じるひと時であった。