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考える言葉

 

目標と思想

 
2003年02月17日(月)

 去る2月12日長崎で、毎年、恒例となった経営人間学講座入門篇が開催されたが、大変盛況であった。
 竹内日祥上人の講演内容は、いつも含蓄が深く、聞く人の心を魅了してやまないのであるが、今年は“目標管理”という、企業にとって身近なテーマであったせいか、深く聞き入っていた人が多かったようである。
 人生や経営にとって、目標をつくることがいかに大切であるか。目標をもつと、なぜ成長が約束されるのか。低い目標より高い目標のほうが、達成率が高いのはなぜか。目標を達成する人とそうでない人の差は、どこにあるのか・・・・・。
先ずは、目標についての基本的な課題を浮き彫りにして、それに明解に応えていく、そのテンポの良さは絶妙である。
それから、“目標管理”というテーマを思想の土俵に上げて、従来の目標管理が多くの企業で失敗しているのは、テクニカル的で、思想性に欠けているからであると指摘する。この指摘は、注目に値千金である。
目標管理の要諦は、目標をノルマとして捉えるのではなく、あくまでも自己実現のための手段として考えるところにある。それ故に、その当事者である個人の価値観に根ざした主体的な思考の内容と自己への動機づけがどのようにして成立するのかが決め手となる。
さらに目標管理を成功させるためには、組織の目標と個人の目標をどのようにして一致させるかという課題の克服も重要なテーマとなる。
さらに、目標の実現は、その達成のプロセスにおいて遭遇する様々な問題に対してどのように向き合い、解決していくかという“思考と行動の蓄積(=成長)”よって担保される。
このように考えると、目標管理の成否は、人間の思考力を鍛える“思想学習”の如何に関わっていることが容易に理解されよう。
思想とは、自らを省みる鑑である。思想には、位相差(高い、低い)がある。当然のことながら、目標管理が必要としている思想は、高い思想であり、それはシステム思考であり、有機体思想(自他非分離)である。
経営人間学講座は、思想について学ぶ場であり、高い思想とは何か、なぜ高い思想を学ぶ必要があるのかを考えるチャンスを私たちに提供してくれる。
目標とは、他から共感されてこそ社会的価値を生み、実現する。それは、高い思想に裏付けられた目標である。